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軽自動車を売却した日―13年間と父の思い出|スズキキャリー冷蔵車 5MT 2026年3月

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13年乗った軽自動車を売却した日
父が最後に運転したスズキキャリーのこと

2026年3月

2026年3月、13年間乗り続けたスズキキャリー(冷蔵車・5MT)を売却しました。京都時代にクラフトビールの仕事で走り回った相棒であり、父が最後にハンドルを握った車でもあります。軽自動車の売却を決めるまでの経緯と、そこに重なる父との思い出を振り返ります。

父とキャリー――京都の貸農園へ続く道

この車を買ったのは、京都に住んでいた頃です。クラフトビールの醸造と販売をしていて、イベント出店のために冷蔵車が必要になったのがきっかけでした。

当時、父が近くの貸農園を借りていました。イベントで車を使わない日は、父がこのキャリーを運転して畑へ向かっていました。

普通車では通りにくい細いあぜ道も、軽のキャリーならスイスイ抜けられます。父はその運転をとても楽しんでいて、畑へ向かう後ろ姿は、どこか嬉しそうでした。

季節ごとに変わる畑の匂い、土の感触、収穫の喜び。そのすべてに、このキャリーが寄り添っていました。「この車はただの道具ではなかった」と、今更ながら感じます。

父がこのキャリーを運転したのは、この京都時代が最後になりました。沖縄へ移住したあと、父はすぐに免許を返納したからです。

思い出の運転

クラフトビールと、走り続けた西日本

私自身にとってのキャリーは、まず「仕事の相棒」でした。ビールを積んで、西日本各地のイベント会場へ走り続けました。

横浜大さん橋 / 名古屋・白鳥ホール / 大阪ドーム
大山ビール祭り / 大阪ビール祭り / 和歌山 / 岡山

前日は徹夜で醸造して、そのままほぼ寝ずに高速へ。トイレ休憩以外はノンストップで走り続け、へとへとになりながら会場にたどり着いたことも何度もあります。

若さと勢いと、「ミッション車が好き」という気持ちだけで走り抜けていた時間でした。スズキの軽はエンジンがよく回るので、長距離でも運転が楽しい車でした。

ビール販売

沖縄へ。セカンドカーとして使い続けた日々

その後、生活の拠点は京都から沖縄へ移りました。キャリーも一緒に連れてきて、セカンドカーとして使っていました。

沖縄では「駐車場あり」と書かれていても、軽自動車しか停められない場所が少なくありません。「軽のMT、しかも冷蔵車」というこのキャリーは、そういった意味でもなかなか手放しづらい存在でした。

父は沖縄へ来てすぐに免許を返納しました。以来、キャリーのハンドルを握る人は私だけになりました。

帰宅する

病気と免許返納。誰も乗らなくなった車

数年後、私自身が病気をしました。しばらくクラッチを踏むことすら難しい時期があり、ミッション車であるキャリーに乗る機会は一気に減りました。

こうして、この軽自動車に乗る人はいなくなりました。「いつかは売却しないといけない」と頭では分かっていても、父との思い出が詰まった一台を手放す決断は、簡単にはできませんでした。

駐車場に置いてい有るくるま

軽自動車の売却を決めた理由――中古車市場の高騰

数年前にも売却を考えたことがありました。そのときは買取価格がほぼつかず、「なら無理に売らなくていいか」と諦めた経緯があります。

ところが最近、中古車市場全体で価格が高騰しているという話を耳にしました。試しに複数の軽自動車買取サイトに見積もりを依頼したところ、4社からほぼ同じ査定額が届きました。どこも「15万円前後」。

13年乗った軽自動車に、これだけの値段がつく。「今が区切りのタイミングかもしれない」と感じました。

軽自動車売却 査定のポイント

  • 複数の買取サイトに同時依頼すると相場が分かりやすい
  • 中古車市場が活発な今は、古い車でも値がつきやすい
  • ディーラーの下取り0円でも、買取会社なら値がつく場合がある
  • 高く売りたいなら購入から2年以内、長く乗るなら10年超えてから売却が現実的
打ち合わせ

車内の掃除。出てきた父の気配

売却前に、車内を掃除しました。シートの隙間や収納スペースを一つひとつ確認していくと、父が残していったものがいくつも出てきました。

「なんでこんなものを」と思う小物もあれば、「ああ、これを持って畑へ行っていたな」と当時の光景が浮かぶものもありました。

自分でオイル交換をしたり、ちょっとした整備をしたりもしていたので、単なる道具以上の愛着がありました。だからこそ、手放すことへの後ろめたさも、正直ありました。

清掃

父が旅立って一年。一区切りとしての売却

父が天国へ旅立って、一年ほどが経ちました。

車内から父の持ち物が出てきたとき、「そろそろ、次の誰かにバトンを渡してもいいのかもしれない」という感覚が、ふっと湧いてきました。

製造から13年が経っているので、もしかしたら部品取りとして使われるかもしれません。それでも、どこかで誰かの役に立つなら、それはそれで嬉しいことです。

父との思い出が詰まったこの軽自動車が、形を変えながら世の中に残ってくれたら――そう願いながら、売却の書類にサインをしました。

契約書を書く

MT車への未練と、次の車選び

次に買う車も、おそらく軽自動車になると思います。そのときにまたミッション車を選ぶかどうか、年齢のことを考えると少し悩ましいところです。

それでも、MT車のことを考えるとワクワクします。エンジンの音、シフトチェンジの感覚、坂道発進の緊張感。そういった一つひとつが、運転する楽しさそのものです。

母はこの車に乗らないと言っていました。父は沖縄に来てからも助手席によく乗っていましたが、運転することはありませんでした。誰も乗らなくなったことが、今回の売却を後押しした理由のひとつでもあります。

母の介護や病院への送り迎え、将来のことなど、次の車選びはいろいろな要素と一緒に考えていくことになるでしょう。

中古車センター

おわりに――思い出を手放すことと、残し続けること

軽自動車の売却は、単に「モノを売る」というだけではありませんでした。父との時間、京都でのクラフトビールの仕事、沖縄での生活、病気、介護――いろいろな出来事が、この一台に結びついていました。

売却の手続きを終えた朝、車が運ばれていく姿を見送りながら、寂しさと同時に「一区切りがついた」という感覚がありました。

モノとしての車は手放しても、その車と一緒に過ごした時間、そこにあった会話や景色は、こうして文章に残すことで、これからも自分の中に生き続けていく。そう思っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

もう駐車場に車ない
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